インテル® インテグレーテッド・パフォーマンス・プリミティブ 8.2 ユーザーズガイド

ディスパッチ

インテル® IPP は、さまざまなプロセッサー向けに最適化された複数の関数実装を使用します。ディスパッチとは、プロセッサーを検出して、対応するインテル® IPP バイナリーパスを選択することです。例えば、/redist/intel64/ipp ディレクトリーの ippie9-8.0 ライブラリーは、第 2 世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリーなどのインテル® アドバンスト・ベクトル・エクステンション (インテル® AVX) 対応プロセッサー上で動作する 64 ビット・アプリケーション向けに最適化された画像処理ライブラリーです。

インテル® IPP 関数には、さまざまなアーキテクチャー向けのインテル® プロセッサーで実行するために最適化された多くのバージョンが用意されています。例えば、ippsCopy_8u() の場合、この関数の第 2 世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリー向けに最適化された 64 ビット・バージョンは e9_ippsCopy_8u()、インテル® ストリーミング SIMD 拡張命令 4.1 (インテル® SSE4.1) 対応プロセッサー上で動作する 64 ビット・アプリケーション向けに最適化されたバージョンは y8_ippsCopy_8u() です。 つまり、関数名のプリフィクスは特定のプロセッサー・モデルを指します。ただし、通常の操作ではディスパッチャーが最適なバージョンを判断します。汎用関数 (この場合は ippsCopy_8u) を呼び出すこともできます。

インテル® IPP は、さまざまなインテル® アーキテクチャーにおけるアプリケーション開発をサポートするように設計されています。根本的な関数の実装ではハードウェア世代ごとの利点を考慮する一方、API 定義はすべてのプロセッサーで共通です。

単一のクロスアーキテクチャー API が提供されているので、インテル® プロセッサー・ベースのデスクトップ、サーバー、モバイルなどのさまざまなプラットフォームで機能を移植することができます。1 つのプロセッサー・アーキテクチャー用に作成したコードをさまざまな世代のプロセッサーで使用可能です。

次の表は、インテル® IPP で使用されるプロセッサー固有のコードを示しています。

プロセッサー固有のライブラリーと関連付けられているコードの説明
 IA-32 インテル® アーキテクチャー  インテル® 64 アーキテクチャー

説明

px

mx

インテル® ストリーミング SIMD 拡張命令 (インテル® SSE) 対応プロセッサー向けに最適化された汎用コード

w7

 

インテル® SSE2 対応プロセッサー向けに最適化

 

m7

インテル® SSE3 対応プロセッサー向けに最適化

v8

u8

インテル® Atom™ プロセッサーを含むインテル® ストリーミング SIMD 拡張命令 3 補足命令 (インテル® SSSE3) 対応プロセッサー向けに最適化された汎用コード

p8

y8

インテル® SSE4.1 対応プロセッサー向けに最適化

g9

e9

インテル® アドバンスト・ベクトル・エクステンション (インテル® AVX) およびインテル® AES New Instructions (インテル® AES-NI) 対応プロセッサー向けに最適化

h9

l9

インテル® AVX2 対応プロセッサー向けに最適化

最適化に関する注意事項

インテル® コンパイラーは、互換マイクロプロセッサー向けには、インテル製マイクロプロセッサー向けと同等レベルの最適化が行われない可能性があります。これには、インテル® ストリーミング SIMD 拡張命令 2 (インテル® SSE2)、インテル® ストリーミング SIMD 拡張命令 3 (インテル® SSE3)、ストリーミング SIMD 拡張命令 3 補足命令 (SSSE3) 命令セットに関連する最適化およびその他の最適化が含まれます。インテルでは、インテル製ではないマイクロプロセッサーに対して、最適化の提供、機能、効果を保証していません。本製品のマイクロプロセッサー固有の最適化は、インテル製マイクロプロセッサーでの使用を目的としています。インテル® マイクロアーキテクチャーに非固有の特定の最適化は、インテル製マイクロプロセッサー向けに予約されています。この注意事項の適用対象である特定の命令セットの詳細は、該当する製品のユーザー・リファレンス・ガイドを参照してください。

改訂 #20110804


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