このチュートリアルは、ターゲット ノードと画像ノードのアセットを使用します。これらのアセットは、こちらからダウンロードできます。
このアセット バンドルには、次のものが含まれます。
- Cow Target.png – ターゲット ノードに使用する画像です。デバイスのジャイロスコープとともに移動して、ArbiTracker のプレビューとして機能します。
- Cow Tracking.png – 画像ノードに使用する画像です。ArbiTrack がトラッキングを開始すると表示されます。
ファイルをダウンロードしたら、展開してアセットを Xcode プロジェクトに追加します。
ArbiTrack の初期化
Kudan ArbiTrack 機能を使用する前に、2 つのものを初期化する必要があります。1 つは、環境内の一連の特徴点をトラッキングしてノードを所定の位置にロックする ARArbiTrackerManager
です。もう 1 つは、デバイスのジャイロスコープを使用してノードを配置する ARGyroPlaceManager
です。これらを初期化するには、次のコードをビュー コントローラーに追加します。
override func setupContent() { // ArbiTrack を初期化 let arbiTrack = ARArbiTrackerManager.getInstance() arbiTrack?.initialise() // ジャイロスコープの配置を初期化 // ジャイロスコープの位置で仮想床面にコンテンツを配置 let gyroPlaceManager = ARGyroPlaceManager.getInstance() gyroPlaceManager?.initialise() }
- (void)setupContent { // ArbiTrack を初期化 ARArbiTrackerManager *arbiTrack = [ARArbiTrackerManager getInstance]; [arbiTrack initialise]; // ジャイロスコープの配置を初期化 // ジャイロスコープの位置で仮想床面にコンテンツを配置 ARGyroPlaceManager *gyroPlaceManager = [ARGyroPlaceManager getInstance]; [gyroPlaceManager initialise]; }
このコードは、ジャイロスコープと KudanCV の ArbiTracker を含む、ArbiTrack が必要とするすべてのものを初期化します。
特徴点が少ない環境
ArbiTrack は、正確にトラッキングするため、環境内の多数の特徴点を使用します。特徴点の少ない環境では、トラッキングの一貫性が損なわれることがあります。
ターゲット ノードの設定
ワールド空間にモデルを配置するには、ターゲット ノードを使用する必要があります。このノードは、トラッキングの開始点を決定します。デバイスの向きに応じてターゲット ノードの位置は変わるため、ターゲット ノードの位置をグラフィカルに表現すると便利です。
ターゲット ノードは ARNode であるため、単純なプレビュー画像やトラッキング対象のモデルを含む、あらゆるものをプレビューすることが可能です。このチュートリアルでは、ターゲットに Kudan Cow を使用します。
ターゲット ノードを作成して ArbiTracker に追加するには、次のコードを setupContent
メソッドの最後に追加します。
// ターゲットとして使用されるノードを作成 let targetImageNode = ARImageNode(image: UIImage(named:"Cow Target")) // デバイスのジャイロスコープとともに移動するように、ジャイロスコープ配置マネージャーのワールド空間にターゲット ノードを追加 gyroPlaceManager?.world.addChild(targetImageNode) // 正しく表示されるようにノードを回転およびスケーリング targetImageNode?.rotate(byDegrees: 90, axisX: 1, y: 0, z: 0) targetImageNode?.rotate(byDegrees: 180, axisX: 0, y: 1, z: 0) targetImageNode?.scale(byUniform: 0.3) // ArbiTracker のターゲット ノードを設定 arbiTrack?.targetNode = targetImageNode
// ターゲットとして使用されるノードを作成 ARImageNode *targetImageNode = [[ARImageNode alloc] initWithImage:[UIImage imageNamed:@"Cow Target"]]; // デバイスのジャイロスコープとともに移動するように、ジャイロスコープ配置マネージャーのワールド空間にターゲット ノードを追加 [gyroPlaceManager.world addChild:targetImageNode]; // 正しく表示されるようにノードを回転およびスケーリング [targetImageNode rotateByDegrees:90 axisX:1 y:0 z:0]; [targetImageNode rotateByDegrees:180 axisX:0 y:1 z:0]; [targetImageNode scaleByUniform:0.3]; // ArbiTracker のターゲット ノードを設定 arbiTrack.targetNode = targetImageNode;
このコードは、画像ノードを作成して、ジャイロスコープ配置マネージャーのワールド空間に追加し、ArbiTracker に割り当てます。
ArbiTrack でのコンテンツの設定
ターゲット ノードは作成しましたが、ArbiTrack の開始時に表示するものが必要です。ターゲット ノードと同様に、ArbiTrack では任意のノードを使用して任意のコンテンツを表示できます。このチュートリアルでは、画像ノードを使用します。次のコードを setupContent
メソッドの最後に追加します。
// トラッキングされるノードを作成 let trackingImageNode = ARImageNode(image: UIImage(named:"Cow Tracking")) // 正しく表示されるようにノードを回転 trackingImageNode?.rotate(byDegrees: 90, axisX: 1, y: 0, z: 0) trackingImageNode?.rotate(byDegrees: 180, axisX: 0, y: 1, z: 0) // ArbiTracker のワールド空間に子としてノードを追加 arbiTrack?.world.addChild(trackingImageNode)
// トラッキングされるノードを作成 ARImageNode *trackingImageNode = [[ARImageNode alloc] initWithImage:[UIImage imageNamed:@"Cow Tracking"]]; // 正しく表示されるようにノードを回転 [trackingImageNode rotateByDegrees:90 axisX:1 y:0 z:0]; [trackingImageNode rotateByDegrees:180 axisX:0 y:1 z:0]; // ArbiTracker のワールド空間に子としてノードを追加 [arbiTrack.world addChild:trackingImageNode];
このコードは、トラッキング画像を使用して画像ノードを作成し、ArbiTracker のワールド空間に追加します。
タッチ入力の実装と ArbiTrack の開始
これで、ターゲット ノードとコンテンツの画像ノードを作成し、ArbiTrack とジャイロスコープの設定が完了しましたが、どのようにトラッキングを開始したらよいのでしょうか? 画像トラッカーは、マーカーを探すだけだったため自動で開始できましたが、ArbiTracker には探すものがありません。つまり、いつ開始すべきかを知らせる必要があります。幸いにも、これは非常に簡単です。
さまざまな入力方法を利用できます。例えば、画面にボタンを追加できます。しかし、これには多くの設定と IBOutlets の調整が必要です。より簡単な方法は、ビュー コントローラーで実装することです。次のメソッドをビュー コントローラーに追加します。
override func touchesBegan(_ touches: Set<UITouch>, with event: UIEvent?) { let arbiTrack = ARArbiTrackerManager.getInstance() arbiTrack?.start() }
- (void)touchesBegan:(NSSet<UITouch *> *)touches withEvent:(UIEvent *)event { ARArbiTrackerManager *arbiTrack = [ARArbiTrackerManager getInstance]; [arbiTrack start]; }
このメソッドは、アプリが画面のタップに応答できるようにします。画面がタップされたらトラッキングを開始するように ArbiTracker に指示しています。
アプリをビルドして実行すると、画面の中央にターゲット ノードが表示されます。デバイスを移動すると、ターゲット ノードも一緒に移動します。画面をタップすると、ArbiTrack はトラッキングを開始します。しかし、ターゲット ノードは表示されたままです。さらに、画面を再度タップすると、画像は新しい位置に移動してそこからトラッキングを開始します。これらの問題に対処する必要があります。
ターゲット ノードの非表示とトラッキングの切り替え
touchesBegan
メソッドにいくつかの変更を適用する必要があります。最初に、ターゲット ノードを非表示にします。これは 1 行のコードを追加するだけで済みます。
override func touchesBegan(_ touches: Set<UITouch>, with event: UIEvent?) { let arbiTrack = ARArbiTrackerManager.getInstance() arbiTrack?.start() arbiTrack?.targetNode.visible = false }
– (void)touchesBegan:(NSSet<UITouch *> *)touches withEvent:(UIEvent *)event
{
ARArbiTrackerManager *arbiTrack = [ARArbiTrackerManager getInstance];
[arbiTrack start];
arbiTrack.targetNode.visible = NO;
}
これで、トラッキングが有効な間はターゲット ノードが非表示になります。アプリを再度ビルドして実行すると、画面をタップしたときにトラッキング画像ノードのみが表示されます。
次に、タップするたびにトラッキングを再開するのではなく、停止できるようにします。再度、touchesBegan
メソッドを変更します。
override func touchesBegan(_ touches: Set<UITouch>, with event: UIEvent?) { let arbiTrack = ARArbiTrackerManager.getInstance() if (arbiTrack?.isTracking)! { arbiTrack?.stop() arbiTrack?.targetNode.visible = true } else { arbiTrack?.start() arbiTrack?.targetNode.visible = false } }
- (void)touchesBegan:(NSSet<UITouch *> *)touches withEvent:(UIEvent *)event { ARArbiTrackerManager *arbiTrack = [ARArbiTrackerManager getInstance]; if (arbiTrack.isTracking) { [arbiTrack stop]; arbiTrack.targetNode.visible = YES; } else { [arbiTrack start]; arbiTrack.targetNode.visible = NO; } }
ここでは、arbiTrack.isTracking
を使用して、画面をタップしたときにトラッカーが実行中かどうかをチェックします。トラッカーが実行中の場合は、トラッキングを停止してターゲット ノードを表示します。そうすることで、「ターゲット」モードに戻ることができます。トラッカーが実行中でない場合は、前述のように、トラッキングを開始してターゲット ノードを非表示にします。
アプリを再度ビルドして実行すると、画面をタップしたときにターゲット ノードが非表示になり、その位置にトラッキング ノードが表示されます。再度タップすると、トラッキング ノードが非表示になり、ターゲット ノードが表示されます。